自分大好き

憚らない

傷が癒えた。
正確にいえばまだ靴擦れの傷は完治していないのだけど、痛みは完全に消え去り、今はどの靴を履いても不自由なく歩ける。この履歴が消えるまでは、この履歴が消えてしまったら、この傷が治るまでに、この傷が治るまでは、とずっと自分に言い聞かせていた。いまその傷が治ろうとしている。いい加減もう全部が消えてしまいそうだ。きっと傷やなんかが跡形なく消えても記憶は消えないし、不毛な悩みを苦痛に思って忘れたくてもすぐには忘れられないだろう。目に見えるものが消えて考えなくなるようなら、苦しむこともなかったはずだからだ。自分に何かを強要することは、既にそれ自体が矛盾している。こうしてゴミのような文章にしてみても、感情の昂りが落ち着くまでに時間がかかるのは変わらない。自分自身の感情を自覚するための努力であり、得られるものは結局自己満足だ。相対性理論の「気になるあの娘」。何もできない自分と、自分にも他人にも都合良く期待しすぎる自分と、行動したくないだけのところを「できない」と甘ったれてしまう自分と、全部嫌になる。寒気がする。まだ小さなかさぶたが残っている。取れた日にはきっと、別の消えつつある何かを見つけるんだろうなと思う。何もかもいつかは消えるのだ。